歯周病
その病気を治そうとするなら、「なぜそうなったのか」を知ることは大切です。
このページ前半ではどのようにして歯周病が起こり、進行していくのかをご説明します。後半では、歯周病の治療についてご説明します。
歯周病の成り立ち
健全な歯周組織でも…
歯と歯ぐきの境目には溝があります。健全な歯ぐきでも2mmほどの溝があります。
この溝にプラーク(歯周病や虫歯の原因菌)がたまることが、歯周病の始まりです。
歯周病とは、歯を支えているまわりの組織(歯肉、歯根膜、歯槽骨など)の病気です。
かなり進行するまで自覚症状があまりありません。
第一段階:歯肉炎
歯と歯ぐきの境目の溝にプラークや歯石がたまると、歯ぐきに炎症が起こり始めます。
プラークとは食べかすではなく、細菌の集団です。この細菌が出す毒素や細菌と戦う自分自身の免疫細胞が炎症を起こすのです。 細菌が増えて免疫の防衛力を上回ると、炎症がさらに進みます。 この段階ではまだご自身の組織は失っていません。 少し腫れているだけですので、適切なブラッシングをすれば元に戻ります。 しかし、自覚症状がほとんどないので次の段階に進むことが多いです。 |
第二段階:歯周ポケットの形成
歯肉炎の状態が続くと、炎症によって歯と歯ぐきの境目を繋いでいた頑丈な繊維がちぎれてしまいます。
ご自身の組織を失ったことになります。 これが歯周ポケットです。 歯肉炎との違いは、歯と歯ぐきの境目の溝が根の先に向かって深くなったことです。 これは決して自然には元に戻りません。 歯周ポケットは歯周病菌の温床です。 歯ぐきは常に歯周病菌の攻撃にさらされることになります。 炎症が続くことでさらにポケットは深くなり、ポケットの底には悪玉菌が棲みつきます。 |
第三段階:歯槽骨の破壊
歯周ポケットが深くなると、歯ぐきの下にある歯槽骨にまで細菌の攻撃が及びます。
歯を支えている骨が溶けるのです。 この状態が長く続くと、骨の大部分が溶けて、歯がぐらぐらになっていまします。 はっきりとした自覚症状が出るのは、かなりの骨を失ってからです。 すべての支えを失った歯は抜けてしまいます。 |
歯周病の治療
モチベーション(動機)
治療は、まずご自身の歯周病の状態を知ることから始まります。そのために必要な検査はたくさんあります。少しお時間を頂戴しますが、検査の結果はきちんとご説明致します。
ご自身の現在の病気の状態を知らずに治療を受けるのは、苦痛だと思います。当院では、なぜ今の状態に至ったのか、どうすれば良くなるのかをご理解いただいたうえで、治療に進んでいただけるよう努めております。
治すのはあなたの体です。我々はそのお手伝いをするにすぎません。歯周病治療に限ったことではありませんが、治療に対するモチベーション(動機)が必要なのです。
ブラッシング
歯周病の原因や進行のしかたは前述の通りです。
その諸悪の根源であるプラークをしっかり除去できるかどうか(歯磨き)が治療の鍵になります。
「磨いている」 と「磨けている」は違います。
ご自身のブラッシング法や普段お使いの清掃用具が適切かどうか、口腔衛生のプロである衛生士がきめ細やかなアドバイスをさせていただきます。
スケーリング
いわゆる「歯石取り」です。
超音波などを用いて歯ぐきと歯の境目に付いている歯石を取り除きます。
通常1回の治療で除去できます。
しかし、この治療では深い歯周ポケットの中にまで付着した歯石は除去できません。
SRP(エスアールピー)
深い歯周ポケット内に付いた歯石を取り除きます。
先ほどのスケーリングで除去した歯石のように超音波などで簡単に取り除くことはできません。
なぜなら、歯周ポケットの奥深くに付いた歯石は、直接術者の目に見えないため、手探り状態でしか除去できないからです。
さらに歯ぐきの下にある歯根は、とても複雑な形をしています。
そのうえ、長年かかって付着した歯石はとても固いからです。
このような理由から、時間をかけて数本ずつの歯を対象に丁寧に除石していきます。
このSRP(歯周ポケットの中の歯石除去)は、多い方の場合で6回かかります。
再評価
歯石が除去されると、歯ぐきの炎症が治まり、歯ぐきが引き締まって歯周ポケットが小さくなります。
どの程度改善したかを知るために歯ぐきの検査をします。除石前の検査と比較することから、再評価と呼びます。
この検査で深い歯周ポケットがすべてなくなっている場合は、以後定期的なメンテナンスで歯ぐきの健康を維持します。
深い歯周ポケットが残る場合は、再SRP(ポケット内の除石)や歯周外科処置、あるいは短期間の定期検診を必要とすることがあります。
この再評価までの一連の治療を「初期治療」と呼び、本来ほぼすべての歯科治療に先立って行われるべきものなのです。
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